ホオジロのさえずり

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help リーダーに追加 RSS 星野道夫さんの魂の軌跡

<<   作成日時 : 2006/08/05 22:55   >>

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いつもこのブログにお心のこもったコメントをお寄せ頂いている美枝子さんからご案内を頂戴し、本日松屋銀座の8階で開催されている星野道夫展「星のような物語」を見てまいりました。星野さんは1952年千葉県市川市のお生まれで1976年慶応大学経済学部を卒業後、動物写真家田中光常氏の助手を経てアラスカに渡り18年間、膨大な「アラスカの大自然とそこに生きる動物達の姿」を被写体に納めました。1996年8月8日に惜しくも44歳の若さで取材先のカムチャッカ半島クリル湖畔でヒグマの事故により急逝されましたが、今年はその10周年にあたりメモリアルの特別企画としてこの8月2日から8月14日まで開催されているものです。

星野さんの作品は愛くるしい真っ白な体に輝くつぶらな黒い瞳でこちらを見つめるアザラシの赤ちゃんの写真を始めとして、みなさまは一度はご覧になったことがあると思います。会場に展示された写真は未公開の作品も含めて何と230点もの数量で、そのほとんどが概ねタテ1m x ヨコ2mの見やすい特大の美しいカラーパネルになっていて会場の中に入るとそこは広大なアラスカの世界に入り込んだような錯覚すらおぼえました。極北に生きるカリブーやグリスビー、アザラシや白熊達の生態、そして満天に輝く星々や神秘な光を放つオーロラ、広大なアラスカの大地を染める夕日の写真の数々など、皆どれも息を呑むほどの美しさで大自然の荘厳さとそこに生きる動物達の生命の尊厳さに心を大きく打たれました。

大勢の観客の方々は列をなしてため息まじりに食い入るようにそれらのパネルを見つめていましたが、私はそれらの多くの写真の合間合間に星野道夫さんが写真を撮り続けながら感じて考えた言葉が短冊のような形で一緒に展示されているのに興味を覚えました。私はそれらを読みつつ写真を見て彼の魂のアラスカでの13年間の軌跡を垣間見た気がしました。大変心を打つ言葉の数々で、その中から私が特にすばらしいと思った言葉をいくつか手帳にうつしてまいりましたのでここに紹介させていただきたいと思います。

・ 浅き川も深く渡れ
・ 大切なことは出発することだった。
・ あらゆる生命は同じ場所にとどまってはいない。人もカリブーも星さえも無窮のかなたへ旅を続けている。
・ 弱者は守らねばならないものを持ったことにより強者との立場を時として逆転させてしまう。(か弱い生まれたての赤ちゃんを懸命に守る動物達の写真にそえられていました。)
・ まだ幼い子供を見ている時、そしてあらゆる生き物達を見ている時、どうしようもなくひきつけられるのは今この瞬間を生きているという不思議さだ。
・ たとえ親であっても子供の心の痛みさえ本当に分かち合うことは出来ないのではないか。ただ一つできることはいつまでも見守ってあげるということだけだ。その限界を知った時なぜか、たまらなく子供が愛しくなってくる。
・ 自然は時折物語りを持った風景を見せてくれる。いやそうではなくきっと僕達をとりまく風景は全て物語りに満ちているのかも知れない。ただ人間にそのパズルが読めないだけなのだ。
・ 自然とは人間の暮らしの外にあるのではなく人間の営みさえ含めてのものだと思う。美しいのも残酷なのもそして小さなことから大きく傷ついていくのも自然なのだ。自然は強くてもろい。
・ その人間のもつ世界の広がりとは平面の距離ではなく皺のようなものかも知れない。どれだけたくさんの深い皺を持ちうるかなのかもしれない。そんなに遠くへ出かける必要はなさそうだ。アラスカを13年旅してきて僕はやっとその皺の存在に気付いてきた。


いかがでしょうか?これらの言葉は展示してあるほんの一部をご紹介したに過ぎませんが、私はそれらの意味するところの深さに心震える思いをいたしました。特に最後の言葉については、私は法華経で説かれている「心の目を開きさえすれば己を含めた現下の存在自体は荘厳されていて、とてつもなく貴重な宝物であることに気付く。」という無価の宝珠に通じる内容ではないかと思います。もっと具体的に判りやすく言えば、われわれ自身の日常生活の中に星野道夫さんのファインダーを通して写真を撮って頂ければ、彼がアラスカで撮影した被写体に決して負けないくらいの輝きを持っているということなのだと思います。私達はつまらないことにこだわって不必要にくよくよしてしまっていて、本来もっている自分の輝きを不必要に自分から落としてしまっているのではないかと思います。この展来会を見てつくづくそんな星野道夫さんの魂の叫びを聞いたような気がいたしました。

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トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
星野道夫写真展@銀座松屋
今日、仕事アフターに銀座松屋で開催されている星野道夫氏の写真展に出かけてきました。平日でしたがものすごい多くのお客さまでちょっとびっくりしましたが、初めて見る作品も多く展示されていてまたアラスカに行きたくなりました。 ...続きを見る
ALASKA会ブログ
2006/08/10 14:25

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
「星野道夫展」お楽しみいただけたようで良かったです。
ブログ拝読し、「ああそうだった」と思い出しました。
私も数年前に彼の写真展でやはり写真のわきに添えられていた彼の文に感嘆しつつ読んだことを思い起こしたからです。
彼は本ものの詩人であり哲学者ですね。でも机上のそれではなく自分の身と心で会得した本物の言葉なり思想。だから私たちの心に素直に入ってくるのでしょう。
「遠くに行く必要はなさそうだ」という指摘には改めて感心致しました。
近い内会場に足を運ぶつもりです。
あの素晴らしい世界に再会できるのを楽しみにしています。
それから、以前から思っていたのですがこの「星野道夫」と言うお名前が彼のお人となりをそのまま表しているようで不思議でした。
きらめく星に輝く野原の道を歩む男、字の通りです。
輝く星の道を今でも一歩一歩歩んでおられるのでしょうか。
美枝子
2006/08/06 22:48
星野道夫展、とっても観に行きたくなりました。いや、必ず行きます。
写真家が言葉でも感動を与えられるって、すごいと思いました。

遠くのものと近くのもの、どっちのことを良くしっているか?と普通に考えてみますと、実は生活の中などで、意外と近くのものの方が、知らなかったりする、というコラムを最近読んだのを思い出しました。

六本木ヒルズには5回行ったが、娘の部屋には1回も行ってない。
海外視察は3回行ったが、近所のお祭りには1回も行っていない。

もっともっと、自分の身近なものにスポットライトをあてる努力をしようと思っています。
松尾
URL
2006/08/07 06:57
美枝子さま
ほんとうに見応えのあるすばらしい写真展をご紹介くださりありがとうございました。おっしゃるとおりですね、星野道夫さんの机上の考えではなくて実際に行動を起こし実体験して体から絞り出てきた言葉なり考えであるだけに大きな重みがあると思います。
寛人
2006/08/07 21:34
松尾さま
圧倒的な有権者のご支持をお持ちなってご公務ならびに市民の方々との対話に大変ご多忙の中を、私のブログをご覧いただき大変光栄に存じます。コメントをいただきありがとうございました。政治活動に心血を注いでいらっしゃる後姿を拝見しいつも敬服しております。ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
寛人
2006/08/07 21:48
トラックバックありがとうございました。

私の場合、アメフトとちょっと知り合いのお医者さんとが偶然にも重なったというものでした。
物事をあまり哲学的に考えるのは苦手ですが、彼の生き方にはなにかを感じます。

またこちらのブログへ寄らせていただきます。

Leo
2006/08/12 00:19
p.s.
失礼しました。
私の記事はURLから入れます。
Leo
URL
2006/08/12 00:24