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まだクーラーなど無かった昭和20年代の私が子供であった頃の話です。私は上毛三山に囲まれた田舎育ちで、梅雨があけて本格的な夏の暑さが訪れると夜になれば家では雨戸やガラス戸や障子まで全て開け放って寝ていました。 今では開け放って寝るなどというと、平気で人を殺してしまうような凶悪な強盗が押しこんでくるようなことを警戒しなければならない世相になってしまいましたが、当時は子供心にも盗られて困るようなたいしたものは無かったと思うし、泥棒と言ってもよく「サザエさん」の漫画に出てくるようなユーモラスなコソ泥のイメージが一般的でしたので平気で開け放って寝ていたような気がします。 家の近くのそこらじゅうに竹藪や水田があり小川も流れていましたのでどこからともなくたくさんの蚊が飛んで来ました。裸電球を消して真っ暗の中で寝ようとすると「プーン」というかん高い蚊の羽音が聞こえてきたのがいまだに耳に残っています。「金鳥の夏、日本の夏」のキャッチフレーズではありませんが夏と言えば蚊取り線香の煙と臭いが脳裏に焼きついています。でも風向きによっては煙の間隙をぬってむき出した手足を刺されてしまい、痒く赤く腫れた患部に「♪キンカン塗って、また塗って」な〜んてことも懐かしい思い出です。 そこで夜には必ず蚊帳を吊って寝ていました。高い天井の八畳の間の四隅から紐で吊った麻か萌黄で作ったゴワゴワした蚊帳の裾を少したくし上げて背を低くしてかがみこんで滑るようにして敷いてある布団の中に入ったことも楽しい思い出の一つです。麻や萌黄で編んだ蚊帳に入れば穴や隙間が空いていない限り、完全に蚊どもをシャットアウトできたので安心してぐっすりと眠ることができました。網の目が細かいので蚊帳の中には蚊だけではなく風も入ってきません。でも体温や温まった布団の熱気を外に発散させる効果は充分ありましたし逆に夜の冷気も蚊帳の中に入って来ましたので快適に眠ることができました。ですから必然的に本来蚊帳というものは部屋を全部開け放って吊って寝ることを前提としているのだと思います。それと雷様が鳴ったら蚊帳の中に逃げ込めば安全だなんてことも本気にしていましたね。 道路はまだ舗装もされていないところが多くて車の騒音もほとんどありませんでしたし、天井裏に時たま走る鼠の足音に「コラ〜!」などと声をはりあげることはありましたが夜は大抵静かでありました。部屋の蚊帳の中にかすんで差し込む月の光に包まれて団扇を扇ぎながらウトウトと、そしていつしか深い眠りに落ちて行った遠い昔は心豊かな時代でもありました。 今の私を含めて都会のマンション生活をしている団塊の世代の人には夏の蚊帳での生活は懐かしい想い出の一つになっているのではないでしょうか?今だって地方へ行けばこんな風情ある生活をしているのかも知れませんね、うらやましいなあ! |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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故郷の暮らしに蚊帳のありし日よ たか志 |
老司たか志 2007/07/05 08:57 |
寛人さん |
新進 2007/07/05 21:33 |
寛人家と異なり、当時の私の生家は夜になると家屋のぐるりの雨戸をしっかり閉めてしまっていましたから真夏ともなると内部はかなり蒸し暑かったものです。蚊帳の中は更に息苦しいものでした。ですので、蚊帳を楽しむという意識には到底至らず、ただただ憎き蚊の進入を阻止してくれれば良いとだけ功利主義的に願ったものです。 |
新進 2007/07/05 21:34 |
蚊帳ですか。ほんとに懐かしいですねえ。 |
美枝子 2007/07/05 22:37 |
ついでですが、あの頃の私の大好きなおやつは竹の皮でくるんだ梅干でした。 |
美枝子 2007/07/05 22:38 |
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